量子ドットとは?仕組み・メリット・デメリットをわかりやすく解説【液晶や有機ELとの違いも】

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量子ドットの仕組みを解説する図。ナノ粒子が光を発し、モニターで鮮やかな色を再現する様子を示したイラスト。

最近、テレビやゲーミングモニターで「量子ドットディスプレイ」という言葉をよく見かけます。簡単に言えば、従来の液晶よりも色が鮮やかで、明るく映せる新しい映像技術です。

量子ドットとは、光をきれいな赤・緑・青に変える小さな粒のことで、これを使うと映像やゲームの色がより自然でリアルになります

この記事では、量子ドットの仕組みやメリット・デメリット、液晶との違いをやさしく解説します。

量子ドットとは?仕組みをやさしく解説

量子ドット(Quantum Dot)」は、非常に小さな半導体の粒(ナノサイズ)です。光を受けると、自分の大きさに応じた特定の色の光を出す性質があります。粒が大きければ赤、小さければ青など、サイズによって色が変わるのが特徴です。

量子ドットを採用した液晶モニターでは、バックライトの光を「量子ドットフィルム」に通すことで、より正確で鮮やかなの光を作り出します。

その結果、より自然で深みのある映像を映し出すことができます。

『通常の液晶モニター』と『量子ドット液晶モニター』の違い

画像引用:https://www.iodata.jp/product/lcd/gaming/lcd-gdq271jlaq/

通常の液晶モニター → 「バックライト+カラーフィルター」で色を作っています。しかしこの方法では、光の混ざりによる「色のにごり」や「輝度不足」が生じやすく、特に赤や緑の発色がくすみやすい欠点がありました。

一方で、
量子ドット液晶モニターは、「バックライト+量子ドットフィルム+カラーフィルター」を組み合わせて高精度なRGBを再構成します。これにより広い色域(DCI-P3やAdobeRGB対応)・より高い輝度(HDR再現に強い)・より自然な階調が実現できます。

通常の液晶と量子ドット液晶の構造を比較した図。量子ドット液晶にはバックライトの上に量子ドット層が追加されている様子を示す。

通常の液晶と量子ドット液晶の比較

比較項目通常液晶量子ドット液晶
発色LEDバックライト+フィルター量子ドット層による「高純度RGB」を追加
色域sRGBが中心DCI-P3・AdobeRGBなど広色域
輝度標準的高輝度・HDR対応に強い
黒表現VAなら良好だが他種のパネルでは微妙同等だが発色の安定性が高い
コスト比較的安価やや高価

量子ドットのメリット

量子ドットのメリット
  • 広色域に対応(DCI-P3 95~99%) — 映像制作用・ゲーム用・映像鑑賞用に理想的な色表現が可能。
  • 自然で奥行きのある発色 — 映画・写真・ゲームなどで立体感のある色味を再現。
  • 高輝度・高コントラスト — HDR400~1000などの規格に適正があり、明るくはっきりしたHDR映像を表示できる。
  • 長寿命・安定性が高い — 有機ELのような焼き付きが起こりにくい。
  • 高いエネルギー効率 — 光の利用効率が良く、省電力で高輝度を実現。

液晶パネルの色表現をアップグレードする技術が量子ドットです。色域が広くなり、色の再現度とリアリティを向上させることが可能なのが最大のメリットです。

量子ドットは色変換が可能なのでバックライトに白色LEDを用いる必要性が無く、より発光効率の良い青色LEDを用いることで、「低消費電力高輝度高純度広色域」の全てを実現できるのです。

有機EL(OLED)と合わせて使う(OD-OLEDパネル)ことで、その弱点を補完する事もできます。

量子ドットのデメリット

量子ドットのデメリット
  • 有機ELほどの深い黒表現はできない ー バックライトを使用する技術なので、有機ELのような完全な黒にはならない
  • 価格がやや高め(同サイズ液晶より高価)
  • メーカーによって発色傾向が異なる(色温度・彩度差)

量子ドットは広色域になり色の表現力は増しますが、バックライトを使用するのは従来の液晶パネルと変わらないため、有機ELのような完全な黒色を表現することは難しいです。(ただ、実用上は十分です。)

量子ドットゲーミングモニターは量子ドットフィルター分の製造コストが余分にかかるため、通常の液晶ゲーミングモニターよりも最終的な製品価格は高くなります

同じ量子ドット液晶でも、メーカーごとに色の出方が微妙に違います。あるメーカーは鮮やか寄り、別のメーカーは自然な色味寄りといった違いがあるため、好みに合う発色を確認するとよいでしょう。

量子ドットと有機ELの違い

  • 量子ドット液晶 ー バックライトを使う仕組みで、明るく鮮やかな映像を得意とします。
  • 有機EL(OLED) ー 自発光するため、黒が完全に沈みコントラストが非常に高いのが特徴です。

どんな人に向いているか?

量子ドットモニターは、以下のような人におすすめです。

  • ゲームや映画で鮮やかな発色やHDR映像を楽しみたい人🎮
  • 色再現性を重視するクリエイター・デザイナー🎨
  • 液晶の見やすさと有機EL級の美しさを両立したい人💻

量子ドットを採用したおすすめの人気ゲーミングモニター

IODATA GigaCrysta EX-GDQ271JLAQ【27インチ・WQHD・200Hz】

画面サイズ27インチ
解像度WQHD(2560×1440)
パネルの種類AHVA(IPS系)「【IO-DATA】AHVAパネルってなに?IPSパネルとは違う?
リフレッシュレート200Hz(DP接続時)※HDMI2.1は最大144Hz
応答速度0.9ms(GTG/200Hz・OD Lv3時)
Display HDRDisplayHDR 1000のロゴ
色域DCI-P3カバー率:98%、Adobe RGBカバー率:100%、sRGBカバー率:100%
おすすめポイント
  • HDMI2.1対応でPS5やXbox Series XのVRR・4K/WQHDゲーミングをサポート
  • DisplayHDR 1000 × Mini LEDで圧倒的な明暗表現
  • WQHD × 200Hzで解像度と滑らかさを両立、PCゲームにも最適
  • 多関節スタンド搭載(高さ・チルト・スイベル・ピボット対応)で設置性◎
  • リモコン付属で操作性が高い
  • 3年保証+無輝点保証(1か月)で購入後も安心
イマイチなポイント
  • HDMI接続では200Hz非対応(最大144Hz)
  • USBハブ非搭載
こんな人におすすめ
  • PS5やXbox Series XユーザーでHDRやVRRを活かしたい人
  • FPSからRPGまで幅広いジャンルを遊ぶ人
  • リモコンでの直感的な簡単操作に魅力を感じる人
  • 国内メーカーの保証とサポートを重視する人

KTC M27P6【27インチ・4K・160Hz】

画面サイズ27インチ
解像度4K(3840×2160)
パネルの種類Fast IPS
リフレッシュレート4K/160Hz、フルHD/320Hz(デュアルモード対応)
応答速度1ms(GTG)
Display HDRDisplayHDR 1400のロゴ
色域DCI-P3カバー率:98〜99%、Adobe RGBカバー率:約97%、sRGBカバー率:約99.5%
おすすめポイント
  • ホワイト筐体でデスク周りを明るく演出できる
  • 4K×160Hz + FHD×320Hzデュアルモードで幅広いジャンルが楽しめる
  • HDR1400対応・ピーク1600nits・Mini LED 1152ゾーンで圧倒的な映像表現
  • USB-C 65W給電でノートPCとも相性が良く、作業環境をすっきり整えられる
  • スタンド調整がフル対応(高さ・チルト・スイベル・ピボット)で設置自由度が高い
  • 価格帯は7万円台前半〜中盤(セールやクーポン込み)と、この性能帯のMini LEDモニターとしてはコストパフォーマンスが高い
イマイチなポイント
  • 「27インチ4K」はドットピッチ(ドットの1つのサイズ)が小さく表示一つ一つが細かすぎると感じる可能性がある
  • スピーカー非搭載で、音響は別途スピーカーやヘッドセットが必要
  • OSD操作やHDR有効時に一部設定項目が制限される可能性あり
こんな人におすすめ
  • 白いゲーミングモニターを探している人
  • 高輝度HDR・Mini LEDの映像美をコスパ良く楽しみたい人
  • 4KとFHD高リフレッシュレートを両立させたい人
  • ノートPCをUSB-C接続で使いたいユーザー

INNOCN GA32V1M【32インチ・4K・160Hz】

画面サイズ32インチ
解像度4K UHD(3840×2160)
パネルの種類IPS
リフレッシュレート4K/160Hz、フルHD/320Hz(デュアルモード切替)
応答速度1ms
Display HDRDisplayHDR 1000のロゴ
色域DCI-P3カバー率:99%、Adobe RGBカバー率:99%、sRGBカバー率:99%
おすすめポイント
  • 2304ゾーンMini LEDバックライト & HDR1000(ピーク1200nits) により、深い黒表現と高輝度を両立
  • 4K/160HzとフルHD/320Hzのデュアルモードで、ゲームジャンルに応じた最適化が可能
  • 独自MPCS技術で入力遅延を低減し、FPSからAAA大作まで幅広く対応
  • USB-C 90W給電対応でノートPCもケーブル1本で接続可能
  • 白デザイン & 背面RGBライティングでデスクをスタイリッシュに演出
  • ドット抜け保証で購入時の心配が少ない
イマイチなポイント
  • 本体サイズ・重量が大きく、設置には十分なスペースが必要
  • HDRオン時に一部OSD設定が制限される場合がある
こんな人におすすめ
  • HDR表現を重視し、OLED級の映像美を求めるゲーマーや映像鑑賞ユーザー
  • FPSからAAAまで幅広くプレイし、解像度とリフレッシュレートをタイトル毎に切り替えて使いたい人
  • 白デザインやRGBライティングでデスクの見た目もこだわりたい人

より詳しい量子ドットモニターの比較・おすすめ機種を知りたい人はこちら

まとめ

  • 量子ドットとは、ナノ粒子によって高純度なRGB光を作る技術
  • 通常液晶よりも色域・輝度に優れる
  • HDR映像や鮮やかなゲーム世界を楽しみたい人に最適
  • 量子ドット技術は、有機ELと並ぶ「次世代の映像美」を実現する重要なディスプレイ技術