応答速度はリフレッシュレートと並んでゲーミングモニターでは最重要な項目の一つです。
では応答速度とはいったい何でしょうか?
応答速度の意味やそのメリットをこの記事では解説しています。
ゲーミングモニターを選ぶ際に応答速度のことで迷わなくなり、どのゲーミングモニターが良いモニターなのかがわかるようになります。
モニターにおける「応答速度」とはなにか?
モニターにおける「応答速度」とは簡単に言うとディスプレイ上のドットの色の切り替わりの速さのことです。
例えば色が
→ →
というように変化したときの色が切り替わる速度を測定したものが応答速度になります。
単位はms(ミリセカンド:1/1000秒)です。
応答速度という文字列からは連想しにくいですが、「色を変化させろ」という命令に対する応答の速さ(速度)だと覚えれば分かりやすいはずです。
応答速度が速いことのメリット
残像があるとゲーム内の敵やオブジェクト(物体)などあらゆるモノの輪郭がはっきりとしません。
下の画像のように物体がブレてゲームがやりにくくなります。

応答速度が速いと、このような邪魔な残像を減らすことができるのです。
では、応答速度はどのくらいの速さがあれば十分か?
どれくらい応答速度があれば残像をなくすことができるのかというと、
1ms以下
であればOKです。
リフレッシュレートよりも速い必要があるからです。応答速度がリフレッシュレートよりも遅いと、残像が発生してしまいます。
多くのゲーミングモニターで応答速度のほうがリフレッシュレートよりも大幅に速い1msなのは、映像によって応答速度が変動する(速くなったり遅くなったりする)ため、どんなに遅くともリフレッシュレートよりは応答速度のほうが速くなるように作られているからです。
以下の表はリフレッシュレート毎に残像が発生しないために必要な応答速度の最低値です。
| リフレッシュレート | 必要応答速度 |
|---|---|
| 60Hz | 16.7ms以下 |
| 75Hz | 13.3ms以下 |
| 144Hz | 6.9ms以下 |
| 165Hz | 6ms以下 |
| 200Hz | 5ms以下 |
| 240Hz | 4ms以下 |
| 280Hz | 3.5ms以下 |
| 360Hz | 2.7ms以下 |
| 500Hz | 2ms以下 |
応答速度の「GTG」や「MPRT」とはいったいなに?
ゲーミングモニターを調べているとGTGやMPRTといった文字列を目にすることがあると思います。
どちらも応答速度を表す表記です。
ただし、測定方法が違うため名称が異なっています。
GTG(Gray to Gray)とは

GTGは「Gray to Gray:グレートゥーグレー」の略で、グレーすなわち中間色(白と黒以外の全ての色)から中間色への切り替わりの速さを測定したものになります。白色と黒色のみの切り替わり速度を測定するよりも信頼性が高い測定方法です。
→ →
実際にモニターを使うときに「白から黒」や「黒から白」へなどの極端な色の変化など起こり得ません。真っ白と真っ黒だけで構成された映像なんてまず無いですから。
モニターの映像はすべて中間色から中間色への変化しかありません。
なので応答速度を表す表記にGTGと明記されていれば、より正確に厳密にモニターの応答速度を表していることになります。
表記例:1ms(GTG)
そのためゲーミングモニターではGTG表記されているものとそうでないものでは応答速度の信頼度が全然違います。
MPRT(Moving Picture Response Time)とは

MPRTは「Moving Picture Response Time」の略でモニターの映像(動画)の動きに追従した撮影を行いその輪郭部分がどれくらいぼやけているかを測定したものになります。
人間の習性として「動いているものに目が向いてしまう」というものがあるので、MPRTのほうがGTGより実際の人の感覚に近い残像感を測定することができます。
ただし、ゲーミングモニターでMPRTと表記されているものはほぼ間違いなくモーションブラーリダクション(黒挿入)機能を使用した状態で測定をしています。
そのため、GTG表記でどれくらいの応答速度になるかは未知数です。
黒挿入機能には「画面の輝度が下がる」「目が疲れやすくなる」などのデメリットも存在するためゲーム中ずっと使い続けられるかどうかは微妙です。
やはり応答速度に関してはGTG表記があるゲーミングモニターを基準にしたほうがモニター選びがはかどるのは間違いないです。
現にGTG表記でスペックが公表されているゲーミングモニター及びメーカーのほうが圧倒的に多いですからね。
「オーバードライブ」って何?応答速度との関係は?

オーバードライブという言葉もゲーミングモニターを調べていると目にすることがあります。
オーバードライブは最大限モニターの力を発揮させる技術です。
電圧を上げて性能をブーストします。
オーバードライブすると応答速度が高速化します。それにより残像感がさらに軽減されます。
非オーバードライブ時の応答速度は明記されていないことが多いですが、公式サイトの片隅にある製品の詳細が書かれたPDFなどで公開しているメーカーもあります。
豆知識:オーバードライブ時の逆残像(オーバーシュート)について
オーバードライブ時にモニターによっては逆残像といって通常の残像とは異なる別種の残像が発生することがあります。青色のような紫色のような暗めの色合いの残像です。
1msや0.5msと大々的に表記されていても、オーバードライブ時の逆残像のことを無視したものが公表されていることがあります。
逆残像が心配な人は商品のレビューをよく読み逆残像が発生しないことを事前に確認するようにしましょう。
有名なメーカーの製品なら基本的には心配いりません。注意したいのは一見スペックが同じ様に見えるのに価格の安いゲーミングモニターです。よくわからないメーカーの安物ゲーミングモニターはよく調べてから納得できるなら購入しましょう。
有機EL(OLED)パネルは応答速度が桁違いに速い理由
有機ELパネルの場合は、液晶パネルとは映像を出力する仕組みが異なるため、応答速度が文字通り桁違いに速いです。
- 有機EL(OLED)パネルの応答速度 … 0.03ms
- 液晶パネル(IPS,TN,VA等)の応答速度 … 1ms
そのため、有機ELパネルを採用したゲーミングモニターを使用した場合、残像が発生することはまず無く(人間には知覚できない)、非常に快適なゲームプレイが楽しめます。
なぜこのような速度の違いが発生するのかというと、映像を描画するための仕組みが異なるからです。
液晶パネルの場合は色を作り出すための液晶分子を物理的に配列する時間が必要なのに対し、有機ELパネルはすでに配列されたRGBそれぞれの色に対応したLEDが発光するだけで直接色を作り出せるからです。
液晶パネルは液晶分子の配列の時間がボトルネックとなって有機ELより応答速度が遅くなるのです。
もっと詳しい仕組みが知りたい人は以下の記事を参照してください↓
リフレッシュレートと応答速度の関係性
リフレッシュレートは1秒間に何回画面を切り替えるかというものですが、例えば144Hzなら1秒間に144回、つまり「1÷144=0.006944…」と約0.0069秒(約6.9ms)に1回画面を切り替えます。
このリフレッシュレートの切り替えの速度よりも応答速度(色の切り替えの速さ)が遅いとうまく画面を切り替えることができず、残像が発生しガタガタの映像になってしまいます。
なので応答速度はリフレッシュレートよりも速い必要があります。
応答速度との関係はある?「G-Sync」や「FreeSync」について

ゲーミングモニターの映像をより滑らかに表現する技術として、「G-Sync」や「FreeSync」というものがあります。
「G-Sync」や「FreeSync」は残像を低減する技術ではなく、画面上のティアリングやスタッタリングを低減させる技術です。
- ティアリング・・・ゲーム映像が上下で横にずれる現象
- スタッタリング・・・ゲーム映像にカクつきが起こる現象
G-SyncはNVIDIA社が開発したもので、FreeSyncはAMD社が開発したものです。G-Syncの方がFreeSyncよりも性能が高いです。より詳しく知りたい人は以下の記事を参照してください。



